すねおりあまごい
脚折雨乞
- 埼玉県
- 8月



脚折雨乞は、鶴ヶ島市の脚折地区に継承されている国選択無形民俗文化財、市指定無形文化財に指定されている降雨祈願の伝統行事です。その由来は江戸時代にまで遡りますが、行事の担い手である専業農家の減少など社会環境の変化により、昭和39年(1964)を最後に一度途絶えてしまいます。
しかし、昭和50年(1975)に、雨乞の持つ地域の一体感を再認識した地元脚折地区住民が「脚折雨乞行事保存会」を結成し、翌昭和51年、脚折雨乞を復活させました。その後、現在では4年に一度、夏季オリンピックと同じ年に開催されています。
脚折雨乞の特徴は、麦わらと孟宗竹、荒縄によって作られた長さ36メートル、重さ約3トンもある「龍蛇(りゅうだ)」を作り、雨乞いを行うことです。龍蛇は雨乞行事当日、出発前の入魂の儀により「龍神」となると、300人の男たちに担がれて、雷電池(かんだちがいけ)までの約2キロメートルの道のりを練り歩きます。雷電池に到着すると、担ぎ手は龍神を担いだまま池に入り、「雨降れたんじゃく、ここに懸かれ黒雲」と必死に叫んで、雨乞いを行います。
平成25年、財団法人地域活性化センターが主催する「第17回ふるさとイベント大賞」において、埼玉県内では過去に部門賞も受賞がない中、最高賞である「大賞」を受賞しました。
祭りの神輿などとは異なり、脚折雨乞では4年に一度の開催毎に龍蛇を製作しますが、竹や麦わらなど、素材のほとんどが自然由来のものであるため、毎回の表情には違いがあります。
今回製作される龍蛇がどのような表情となるのかは、見どころの一つと言えます。
また、池の中で雨乞いを行った後、最後に龍神は担ぎ手によって一斉に解体されます。
この解体時、縁起物とされる頭部に付けられた金色の宝珠を、若者が我先にと競って奪い合う様は、非常に豪快で見る者も圧倒されます。