ふこうののおろちまい
深野の大蛇舞
- 福島県
- 1月


獅子神楽の頭(かしら)は神の化身である権現であるが、この大蛇舞は大蛇を悪霊の化身とみなして、これを退散させるという県内では珍しい舞で、旧相馬中村藩だけに伝来している。
舞は大蛇の前に太刀を持った二人が立ち獅子に切りかかる大蛇舞と、三人が太刀を持って輪になり、向かいに立つ二人が持つ太刀をまたいだり下をくぐるなどの曲芸さながらの剣舞のふたつがある。
大蛇舞は県内では旧相馬中村藩の北部にだけ伝来している舞で、県内では珍しい。
天明の飢饉のあと、旧相馬中村藩は北陸地方から1,800戸、5,000人の移民を迎えた。この舞は移民が伝えた「獅子舞」に、東北地方に伝来している法印神楽が習合したもので、特有な芸態である。
民俗芸能として希少な伝承であるばかりでなく、飢饉という災難を今に伝える証でもある。