ふこうののかぐら
深野の神楽
- 福島県
- 1月


当地はことに結束の強い集落で、獅子神楽と大蛇舞の二つが伝来していて、小正月に厄年の家族がいる家と特に要請のあった家にともに舞い込んでいる。
演目は準備の間に奏する「すが」で始まり、幕舞・幣束舞・鈴舞、それに乱舞の神樂舞の5種で、神楽舞にはこの地方では珍しい道化のひょっとこが出る。古くから連帯感のある集落であったことから、舞も確実に受け継いでいる。
深野地区は新田川を挟んで川北と川南の二つの集落からなり、大蛇舞と獅子神楽を分担して伝えている。かつては小正月に天照御霊神社に両舞を奉納し、引き続いて地区内の厄年の住民の祓いとして境内で舞い、さらに戸ごとに舞い込んだ。これが昭和40年代からは、神社の後は厄年の家だけになった。
種目は世話人が舞い込む家の当主に挨拶をする間に「がくや」を、舞の準備の間に「すが」を奏する。このような例は数少ない。続いて4種を舞う。かつては道化役も出たが、これはこの地方としては珍しい。