あさひいちりゅううちだてししおどり
旭一流内楯獅子踊
- 山形県
- 9月


現存する延宝4年(1676)の由来書によると、延宝3年(1675)頃、3年間凶作が続いたため、農民が寒河江八幡宮に参篭したところ、「山寺(立石寺)奥の院で踊り、許しを得て寒河江八幡宮にて踊れば豊作間違いなし」とのお告げがあったため始められたという。
演目は、「鹿踊り」「念仏踊り」「歌切」「道踊り」の4種合計32曲。獅子は7匹(人)で、雄獅子6匹(人)は黒い獅子頭をいただく。この獅子頭は鼻が大きく突き出て、口が大きく割れている。頭上には黒い鳥の毛に鮮やかな山鳥の長い毛が数本立ててある。雌獅子1匹(人)の獅子頭は黄色で、鼻は雄獅子より小さく、くちばしが尖っている。丸内の紋が真中につく長幕(切り幕)を身に着け、胸には小さな羯鼓をつるし、2本のバチを持つ。楽器は篠笛、大太鼓、鉦で、その他ササラ摺り4人が華を添える。
山形県村山地方における大部分の獅子踊は山寺との関係があるが、今では激減してしまっている。旭一流内楯獅子踊も山寺信仰との密接な関係を有していることが明らかであり、山形県村山地方の獅子踊を今に伝える貴重な民俗芸能である。
七匹の獅子は五行思想に基づく七曜をかたどったもので、大将獅子の頭には三叉の剣を付けて貪狼星を表し、雌獅子は破軍星を象徴する円形のものをつけている。また、獅子踊の長幕(切り幕)は大きく、身体の動きに応じて、獅子の優雅さや勇壮さを表している。七匹の獅子が中心となって踊る中に、演目によっては鉦打ち・ササラ摺りの児童が加わる部分も見どころ。
演目「念仏踊り」は、祖霊信仰を濃厚に表しているとともに、山寺信仰との密接な関係が窺える。