いわふねまつり
岩船祭
- 新潟県
- 10月



岩船祭は村上市岩船地区に鎮座する石船神社(いわふねじんじゃ)の例大祭で、祭礼の起源は定かではありませんが、中世後期の岩船町を領地としていた平林城主色部氏の記録で永禄~天正年間(1558-1591)の「色部氏年中行事」には、当時の祭礼神事の様子が記されています。
毎年10月19日の祭礼日には神輿とともに9台の「しゃぎり屋台」が地区内を巡行し、現存する「しゃぎり屋台」で最も古いものは享和元年(1801)に制作された下浜町の屋台で、これを含めて江戸時代に制作された屋台は5台を数えます。
祭礼行列の先頭となる岸見寺町の屋台は「お舟様」と称され、祭礼の中心的存在として篤く信仰されています。岸見寺町の屋台に乗せられる「お舟」には神輿とともに神霊が宿るとされ、祭礼の最後には「お舟」の神霊を神社本殿に還す「とも山」神事が行われます。岩船祭の屋台巡行と「ともやま」行事は、昭和63年3月25日に新潟県無形民俗文化財に指定されています。
10月19日の本祭は、早朝に石船神社の社殿前にお舟・神輿・白駒が並んで御霊うつしの神事が行われたのち、午前8時30分頃に先太鼓と岸見寺町屋台を先頭に漆や金箔を施した9台の「しゃぎり屋台」と神輿が神社を出発します。夕方になると屋台に提灯が提げられ、夜は昔ながらの港町の町並み、狭い道を屋台が車輪を軋ませながら巡行します。
巡行中、祭礼行列を先導する「先太鼓」や岸見寺町屋台による「木遣り」、各町内それぞれで異なる個性的なお囃子など、祭りを彩る音楽も特徴的なものです。20日の午前0時頃にはお舟・神輿・白駒が神社へ戻り「とも山」と称する神事が行われます。「とも山」ではお舟の艫(船尾)が社殿に向けられ、このことは神輿とともにお舟からも神霊が除かれるという信仰の表れとされています。